どんなに時間がかかっても建てたい家【愛知 アンティークな注文住宅】
2021/11/11
こんにちは 香瑛住研の野口です
通常、家の工期は着工前に目処が立っていて、あまり延びることはありません。
しかし、完成が予定より半年延長したお客様の家があります。
家は、一生に一度の一番大きな買い物と言っても過言ではありません。
気に入らないからといって、そう簡単に建て替えられるものではない。
工期を延長しても、お客様の「こうしたい!」という強い想いに応えて建てさせていただいたM様の家のお話しです。
M様ご夫婦は、古い物が大好きでアンティーク家具や雑貨を世界中から集められてました。
ご自宅もアンティークな物たちが似合うよな家にしたいと、数えきれないほどのモデルハウス、オープンハウス、住宅メーカー、工務店を回ったけど気に入る家には出会えなかったそうです。
そんなある時、資材供給会社を通してご縁が繋がりました。
健康住宅に興味をお持ちで、その会社に問い合せたところ「個性的な住まいを建てる上に、親身に相談に乗ってくれる工務店がありますよ」と、僕の会社を紹介してくださったんです。
なんとも有り難いことです。
はじめにお問い合せいただいた時は、少々遠方なのでお請けしてもいいものかどうか迷いましたが、M様とお話しするうちに「これは、絶対にウチの仕事だ!」と直感、すぐに「ウチでやらせてください」と申し出てました。
建築用の土地には、M様のお父様が建てられた家が建っていました。
最初の課題は"建て替える"のか、大規模"リフォーム"するのか。
お父様のお気持ちや、そこで暮らした「思い出の価値」には僕たちもとても強い感情を抱いて簡単には決められません。
ただ、既に築何十年、この先何十年の暮らしに耐えられるのか?が重要です。
そこは、感情ではなく調査をしてデータを見て決定。
技術者で理論的なお考えのお父様、骨格の強さを重視し材質や間取りを決定して建てられたそうです。
調査してみると、骨格の鉄骨は頑丈そのもので壊すのがもったいない造り。
骨格は既存のものを強化して、その他は新しく生まれ変わることにしました。
さぁ建築着工 あとは完成するのを待つだけ
とはいきませんでした。
通常は図面が完成したら、建具やクロス、床材などを選んで、図面通り、予定通りに進み家が完成します。
M様の家は異例で。
建て始めてから
「気に入ったドアがない」
「この壁はどうするか」
「明かり採りの窓枠はどうするか」
などなど何度も打合せを繰り返しました。
現場をずっとご覧になられてたお父様はハラハラされる事が多かったと後でおっしゃってました。
構造や技術面は問題ないけど、その場で現物合わせをしながら進んでいく建築現場に驚かれたそうです。
「行き当たりばったりだし、工期は延びていくし本当に完成するんだろうか」と心配だったそうです。
当然だと思います。
ただ、楽しそうに家づくりをされてる息子さんご夫婦を見ていて、トラブルではなく良い家を建てるためにとことん時間をかけているんだとご理解いただけました。
M様ご夫婦は、アーティストのような感性をお持ちで細部にまで工夫を凝らしたこだわりの内装になりました。
たとえば、
リビング正面の壁は石貼りにしたものの、色が気に入らない。
どうしたものかと悩んだ結果、漆喰を塗ることに。
ご主人が現場で職人と「こんな感じ、あんな感じ」と相談しながら作り上げたものなんです。
ドアはインターネットで探し回りアメリカのオークションで落札した物。
そのドアも、イメージが合わなかったドア枠は鏡のフレームに、トップピースは玄関内側に飾りとして取付け。
工夫して別用途で使用してます。
ご夫婦は発想が柔軟でアイデア豊富
僕たちも一緒にアイデアを出し合いながら、新たなモノを生み出すのはとても楽しい時間でした。
災害による部材入荷の遅れと、現場での試行錯誤を経て工期を6ヶ月延ばして完成しました。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。